FC2ブログ
2018 11 ≪  12月 12345678910111213141516171819202122232425262728293031  ≫ 2019 01
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
第5章 カラダ  ―プロジェクトリーダー―
2010/09/08(Wed)
 週が明け、竜之介が担当するプロジェクトが本格的にスタートした。

 といってもプロジェクト専用の部屋があるわけではなく、今まで通り開発室での勤務だ。


 竜之介がプロジェクトメンバーになった中島裕子の席で打ち合せをしていると、外出から戻った橋本が背後から声をかけてきた。

「お~っ、見違えたな! プロジェクトリーダーになって気合い入ってるな、竜之介。 お前のネクタイ姿なんて初めて見るけどなかなか似合

うじゃねえか」

「あっ、ありがとうございます」

 竜之介はスーツにネクタイを締めて出社していた。

「協力会社さん達に会う機会が増えるでしょ。 最初が肝心!舐められちゃダメと思ってせめてスーツでも着てやるかと。 えへへっ」

 竜之介の会社では服装に決まりがあるわけじゃないし、役員達も普段はラフなカジュアルで出勤している。

 確かにリーダーになると対外的な折衝が増え、出掛ける機会もあるのだが、そのためにスーツを着たというのは表向きの理由だ。

 梅雨も後半になり、蒸し暑い日が続く中で、胸の膨らみを隠すためにスタジャンや分厚いネルシャツを着て仕事をするのは余りにも季節外

れで奇異な目で見られるを竜之介は気に病んでいた。

 スーツなら誰も変に思わないし、リーダーに抜擢されたのをきっかけにしようと昨日大きめのジャケットと、スーツを買い求めたのだ。

「それはそうと、竜之介。 頼みがあるんだ」

「なんでしょうか、、、」

 真昼間のオフィスの中なのだが、橋本と面と向かい合うと思わず身構えてしまう。 

「ふふん。 お前のプロジェクトの外注を1件だけ、差し替えて欲しいんだ」

 橋本は竜之介のうろたえぶりにその心情を察し、意地悪そうな笑みを浮かべて言った。


「あの~、どの部分ですか?」
 
 仕事の話だとわかり竜之介はホッとした。

「クライアントインターフェースの部分だ」

「それってアクトエンジニアさんに発注する予定なんですけど、、、」

「すまん。 クライアントから急にその業者を使ってくれって言ってきたらしいんだ。 アクトには俺が穴埋めをするから何とか頼むわ」

「そぉなんすか、、、 じゃあ、仕方ないですね。 で、どこの業者なんですか?」

「俺は昔一度だけ仕事をしたことがあるんだが町田の山科システムって会社だ。 おまえ、知ってるか?!」

「いいえ、、、 ボクは知らないです」

「そっか。  じゃあ明日、一緒に行ってやるから紹介するよ。 ついでにレビューを頼むぞ」 

「えっ、レビューも明日やるんですか?」

「ああ、急だが先方の資金繰りとかもあるらしくて早く着手したいみたいなんだ。 なんとか準備してくれ」

「あっ、はい、、、 わかりました。 間に合わせます」


      ◆
 明日のレビューの準備に、竜之介はスタッフの中島裕子と二人で遅くまでオフィスに残っていた。

「遅くまで御苦労さんだね、お二人さん。 まだ掛かりそうか? 竜之介」

 夕方から業者と懇親会に出掛けていた橋本が赤ら顔で開発室に戻ってきた。

「あっ、いえ。  もう少しで終わります、、、」

「そっか。 山科の親父、ちょっと変わりモンだけど、明日はよろしく頼むわ」 

「あっ、はい、、、」

――なんだよ、酒臭いなぁ、、、 急に突っ込まれた仕事で残業してるのに、、、

 竜之介は上機嫌でロレツが少し怪しい橋本を疎ましく感じた。

「そうだ、コレ渡すの忘れてたんだ。 明日はこの名刺に相応しい恰好で来てくれ」

 橋本がテーブルの上に数枚の名刺を置いた。
 
 手に取るといつも使っている名刺と同じデザインだが、名前が”速水 みちる”と印刷されている。
  
 
「えっ、、、 これ、どういうことなんですか、、、」

 竜之介は声を潜めていった。

「見たとおりだ。 明日はOLらしく控えめな化粧で来てくれよ」

 橋本もパーティションを隔て隣に座っている中島に気遣ったのか、声をひそめて言った。

「そっ、そんな、、、 出来るわけないじゃないですか」

 橋本は女装して業者と仕事をしろと、とんでもないことを言ってきた。

「ふふん。 それは逆だ。 お前が男の恰好してるほうが変だぜ。 今のおまえ、、、 男装の麗人って感じだもんなあ。 女でいる方がよほど

自然だぞ」

「そっ、そんな、、、」

「山科システムとは今回限りの付き合いだろうから、女の子の”みちるちゃん”として仕事が出来るチャンスだと思わないか? 念願だったん

だろ?!」

「何言ってるんですか?! むっ、無理ですよ、そんなの、、、」

「先方にも連れていくのは可愛い女性スタッフって言ってあるからさっ」

「そんなムチャですっ! 明日は中島も一緒だし、、、」

 橋本はニヤリと笑い、中島のデスクを覗きこむ。

「裕子ちゃん。 明日のレビュー、君は行かなくていいよ。 山科の社長って女癖が悪いって有名らしいんだ。 我が社のマドンナが毒牙に

掛けられても困るから速水リーダーに任せとけばいいから」

「あっ、そうなんですか?! わかりました」

 お世辞にも可愛いとは思えない中島は精一杯の笑顔で橋本にこたえた。

「竜之介。 明日は直行でいいぞ。 待ち合わせはJR町田駅の改札前に9時半な」

 橋本は中島にも聞こえるように大きな声で言った。

「そっ、そんな?! チーフ、、、」

「OLっぽいブラウスとミニスカートがいいなあ。 暑いからジャケットは着なくていい。 頼んだぞ、みちる君」
 立ち去り際に橋本が耳元で囁いた。

「ちょ、ちょっと待ってください、チーフ! 待って、、、」

 笑い声を残し橋本は開発室を出ていった。

――ムチャクチャだ、、、 そんなこと出来る訳ない、、、


       ◆

▼応援してね▼



 
関連記事
この記事のURL | ボクの中のワタシ | CM(2) | TB(0) | ▲ top
<<第5章 カラダ  ―プロジェクトリーダー― 2 | メイン | 今さらながら、、、必要は発明の母ですね! いや、ホント>>
コメント
-  -
SORAさん、コメントありがとうございます。
キュン、キュンして頂けるよう頑張りますのでこれからも応援してやってください。
2010/09/08 22:17  | URL | 羽佐間 修 #4jG6D.iE[ 編集] ▲ top
-  -
初めて書き込みさせていただきます。真梨子からのファンです。凄い更新頻度ですね。今回のテーマはちょっと私の趣味と違うんですけど羞恥心のある女の子を追いこんでいく仕掛けには感心します。いつも自分に置き換えてキュンとさせられてしまいます。これからもがんばってください
2010/09/08 17:51  | URL | sora #2x.LPFvg[ 編集] ▲ top
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://hazamashamenovel.blog59.fc2.com/tb.php/413-a3f80ed2

| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。