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第4章 翻弄  ―復讐―
2020/07/20(Mon)
 5時を少し過ぎた頃に内線電話が鳴った。

「速水さん?! 山瀬ですけど。 すぐ総務部に来てくれますか」

 電話は明菜からだった。

「えっ?! な、何か、、、」

――今日もまた何か企んでいる、、、

 竜之介はビクビクしながら明菜の言葉を待った。

 明菜の竜之介に対するいたぶりは日ごとにエスカレートしている。

 給湯室やエレベーターの中で下着のチェックを受けるのは序の口で、昨日は商談室で嬲られていたら危うく恥ずかしい姿を他の社員に見られてしまうところだった。

「いいから、来てっ!」

 声を殺して明菜が言った。

「あっ、いや、、、 わかった。 すぐ行くから、、、」

          ◆

――何をする気だろう、、、 仕事の話なのか、、、

 竜之介は胸騒ぎを抱えたまま、エレベーターに乗って階下に向かう。

 今の明菜は竜之介を虐め、復讐することを楽しんでさえいるようだ。

 エレベータが総務部がある2階に着き、ドアが開くとそこに明菜が腕組みをして立っていた。

「遅かったわね」

 ドアが閉まり、周りに誰も居ない事を確かめた明菜が低い声で言った。

「あ、ああ、、、 ごめん」

「付いてきて」

 明菜は不機嫌そうにプイっと顔を背け、総務部の方向へ歩き出した。

 仕方なく後を付いていくと、総務部の前を通り過ぎ、その奥にある女子更衣室の前で明菜は止まった。

「入って」

 更衣室のドアを開けて平然と明菜は言った。

「えっ?! だってココは、、、」

「今は誰も居ないわ。 みちるちゃんなら入れる場所よ。 私の言うことが聞けない?」

「あっ、、、 そんな、、、」

「さあ、入って!」

 背を押され、竜之介は否応なしに更衣室に足を踏み入れた。


          ◆

「あっ、止めてっ!」

 更衣室に入るなり明菜の手が竜之介のバストをむんずとつかむ。

「アンタ、梅雨時にこんなスタジャン着て熱いでしょう?! オッパイ隠すのも大変ね」

 明菜は竜之介の背後に回り、ジャンパーを肩から外そうとした。

「ダメッ! こんなところで人が来たらどうするのっ?!」

 竜之介は咄嗟に明菜の身体を強く押した。

「痛いじゃない、、、 派遣さんの終業時間の5:15までまだ5分あるわ。 今日はアンタのイヤラシイ身体、明るいところで見てあげるから早く脱ぎなさい」

「で、でも、、、」

 会社の女子更衣室で下着姿になるなんてあり得ない。

「ねえ。 ここで私が助けて~~!って叫んだら貴方は強 姦罪で立派な犯罪者よ。 3年以上の懲役だったかしら。 どうする?!」

「そんな、、、」

 今の明菜ならやりかねないと思うとすーっと血の気が引いていく。

「早く脱いでイヤラシイ身体、見せなさいよ」

――やりたいだけやらせて、明菜の気を静めるしか、、、

 明菜の自分に向けられた劣情は、恥ずかしい姿を晒すことできっと鎮まるはずだ。

 そう思って服を脱ぎかけるが、ふとシャツのボタンに掛かる手が止まる。

 今日の下着はいつもにも増して見られたくないモノを身に着けていた。

「早くしないとみんな、戻ってくるわよ」

 竜之介は覚悟を決め、素早く服を脱いでいった。

「えっ?! なんていやらしい下着つけてるのっ?! 乳首は見えてるし、陰毛も透けてるわ」

 竜之介の身体を飾るランジェリーは、パンストの生地で出来ていて、乳首も、陰毛も丸見えだ。

 乳房を支える機能はまるでなく、胸の揺れが一日中気になって仕方がなかった。

「何恥ずかしがってるのよ。 私に見られるのを分ってるくせにそんなの着てくるなんてアンタおかしいんじゃない?! 私にチェックされるのが楽しみなのね?!」

「ちっ、違うっ! そんなことない、、、」

「ふっ。 じゃあどうしてよ?」

「そっ、それは、、、」

 今朝、ホルモン剤の服用をチェックされた後、並木が送ってきた下着を付けるよう強いられた事を言う訳にはいかない。

「ほらっ、何も言えないじゃない」

 竜之介は羞恥に頬を紅く染め、恥ずかしい下着姿を眺める明菜の視線にじっと耐えるしかなかった。

「そうそう、プレゼントがあるの。 アンタ用の名札、作ってあげたわ」

 明菜はそう言ってポケットから取り出した名札を取り出し、竜之介の首にかけた。

 見てみると他の表示はそのままだが、名前の箇所だけ”速水 みちる”となっていた。

「もしも誰かに見つかった時の為よ」

―――明菜なら本当にそんな場面を強いてくるかもしれない、、、

 竜之介はゾッとした。

 明菜が床に散らばる竜之介の服を拾い集めだした。

 何をするのかと眺めていると、明菜は手にした服を右端のロッカーに投げ入れてしまった。

「なっ、何するんだ?!」

「アンタの男の子用の服は私のロッカーに預かっておいてあげる。 さっ、早くこのロッカーの中に入りなさい。 もう派遣の事務の女の子たちが退社する時間だからここはにぎやかになるわよ」

 竜之介の背後のロッカーの扉を開けて明菜が言った。

「えっ? まだ2分ある。 早く服を返してっ!」

 更衣室に掲げられている時計の針は5:13を差していた。

「うふっ。 この時計3分程遅れてるのよ」

「うそっ!?」

 服を取りだそうと明菜ともみ合っていると、女性の談笑する声が廊下から聞こえてきた。

「ほらっ! 早く隠れないと犯罪者になっちゃうわよ~」

「あぁぁ、、、 ひどいっ」

 この状況で選択肢はない。

 竜之介が慌ててロッカーの中に身体を滑り込ませるのと同時に更衣室のドアが開き、幾人かの若い女性が入ってきた。

「お疲れ様」

「あれ、山瀬さん。 どうしたんですか~?!」

「ああ、この前辞めた中塚さんからロッカーに忘れ物をしたかもって連絡があったから探してるの」

「そうなんですか。 で、あの子、何を忘れたって言ってるんです?」

 声の主が明菜に近づいてくる様子に竜之介は心臓が止まるかと思うほど恐怖が走った。

「ポーチらしいんだけどね」

――お願いっ! 早く閉めてっ

 明菜はロッカーの扉をわざと半開きにしたまま女性スタッフに向かい合っている。

 退職した中塚という女の噂話が始まり、明菜は時々視線を向けては焦る竜之介の様子に満足そうに笑みを浮かべ話し続けた。

「じゃあ、私、着替えますね」

「あっ、ごめんなさい。 邪魔だったわね、陽子ちゃん」

 竜之介が潜むロッカーの隣がその陽子という女のものらしく、明菜は身体をずらし扉を閉めかける。

 ドアが閉じる間際に横切った陽子の顔が一瞬見えた。

 竜之介も何度か話したことがある総務の女の子だった。

――ひっ、、、 気付かれなかったか?!

 真っ暗なロッカーの中で絶対に音を立てるまいと身を固くして耳をそばだて様子をうかがう。

 明菜は暫く他愛のない会話を続けた後、更衣室を出ていってしまった。

――うそだ、、、 どうしたらいいんだ

 更衣室には次々と女子社員達がやってきてはワイワイとお喋りをしながら着替えを済ませ、更衣室を後にしていく。

 その間、誰も間違って扉を開けない事を竜之介は祈り、身じろぎもしないで息をひそめて時間が過ぎるのを待った。

 どれくらいの時間が過ぎたのだろうか、パタリと人の出入りが絶え、更衣室に誰も居なくなったような気がした。

――6時くらいになってるのかな、、、 

 竜之介が勤めるデジタルシステムワークスで制服を着るのは、総務・経理と営業事務の女性で、締日や決算の時以外は制服組は遅くても6時には退社することを竜之介は知っていた。

 竜之介はロッカーを出て脱出するか、完全に誰も居なくなるまでもっと待つか迷っていた。

―――早く戻らなきゃ、、、

 明菜に呼び出され何も言わずに席を離れていたので、少し焦りを感じだしている。

 明菜がここに潜んでいることを誰かに告げ口しないとも限らないし、いつまでもこんな下着姿でいるのはいかにもまずい。

 とにかく服を着ようと竜之介は決心し、もう一度耳を澄ませ、室内に誰も居ないと確信して扉を開けた。

 一目散に服が投げ込まれた明菜のロッカーに駆け寄り扉に手をかけた。

(ガチャ、ガチャ、……)

「うそっ!?」

(ガチャ、ガチャ、ガチャ……)

 明菜が服を投げ入れたロッカーには、鍵が掛けられていた。

 力を込めていくら引っ張っても扉は開かない。

――ウソだ、、、 どうしよう、、、

 竜之介はショックで茫然としてしまったが、ハッと気付き慌てて再び元のロッカーの中に駆け戻る。

――明菜が戻るまでこのままいるしかないのか、、、

 明菜の激しい復讐心に竜之介は唖然としながら、どうやってロッカーを脱出するか、思案を巡らせていた。


           ◆

――はっ、、、 明菜?!

 誰かが更衣室に入ってきた。

 少し離れたロッカーのカギを開けている様子で、やがて扉が開く音がした。

――明菜のロッカー?!

 ゴソゴソ物音がして、そして足音が竜之介の潜むロッカーの前で止まり、突然、扉が開いた。

――ひっ、、、

 竜之介は身体をこわばらせ、目を固く閉じた。

「いつまでサボってんだよ。 助けに来てやったぜ」

――えっ?!

 ロッカーの前に立っていたのは橋本だった。

出てこいよ」

 竜之介は泣きそうになるのをこらえ、ロッカーを抜け出した。

「早く服を着ろ。 こんなとこに居るの見られたら俺まで変態に間違えられちまう」

 橋本は竜之介に鷲掴みにした服を押しつけた。

「おまえ、なんちゅうエロい下着着てんだよ?! こりゃ明菜の怒りは増幅するわ。 にしても、明菜がお前の事を女っぽい身体になってるって言ってたのはこういう事だったんだな」

 橋本は竜之介のブラジャーから透けるバストを見て驚きの声を上げた。

 膨らんだバストを橋本に見られるのは初めてで、恥ずかしさにかぁーっと身体が熱くなる。

「女っぽいなんてもんじゃないぜっ! まるで女のオッパイじゃねえか、竜之介」

 橋本は慌てて服を身に着ける竜之介の仕草をいやらしい目付きで眺め、下卑た笑みを浮かべながら言った。

「しかし明菜には困ったもんだ。 お前があまり長い間席を空けてるからどこへ出掛けたのかって聞いたら、明菜から内線電話を受けて慌てて出ていったって言うからピンときたんだ」

――えっ!?

 竜之介には意外だった。

 明菜の一連の行動は橋本が指図しているか、少なくとも知っているとばかり思っていた。

「こんなムチャな事をしてるとは思いもしなかったぜ。 さあ、早くここから抜けだすぞ」

「、、、はい」

 橋本は服を着終わった竜之介の肩を抱いてドアに向かう。

「女の恨みってのは恐ろしいなあ、竜之介。 女と別れる時はきっちりしとかないとなっ」

「、、、はい」

 二人は廊下の様子を確認してそっと女子更衣室を出た。

 竜之介は長時間の極度の緊張が解けホッとしたからなのか、身体に思うように力が入らない。

 よろめく身体を橋本に抱きかかえられた。

「おいおい、大丈夫かよ?!」

「だ、大丈夫です、、、」

「ブラ男なのを隠すためにこんな季節外れのスタジャンを着てるのかと思ってたが、こんなでかいおっぱいを隠しているとは思わなかったぜ。 ふふっ。 お前、これからどうするつもりなんだ?! いずればれちまうぜ」

「あっ、、、」

 肩を抱く橋本の手がスタジャンに潜り込み、シャツの上から乳房を握ってきた。

「橋本さんっ! やめてください、、、」

「くふふっ。 ぷにぷにして気持ちいいなあ、お前のオッパイ! 大人の女っていうより女子高生みたいなプリンッとした固さがある。 といっても俺は女子高生とやったことはねえから想像だけどな。 あははっ」

 橋本は竜之介の乳房を弄びながら上機嫌でエレベータに向かった。


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