FC2ブログ
2020 07 ≪  08月 12345678910111213141516171819202122232425262728293031  ≫ 2020 09
第4章 翻弄  ―恥辱の屋上―
2020/07/17(Fri)
 3日掛かりで悪戦苦闘したプログラムがやっと仕上がった。

「う~~ん! ふぅ~、、、」

 竜之介はちょっとした達成感に浸り、ヤレヤレとデスクで大きく伸びをして胸を反らせた。

――あっ! ヤバっ、、、

 慌てて椅子の背もたれから身体を起こし、隣の席の同僚と橋本チーフの方を見た。

――良かったぁ、、、 見られてなかった、、、

 膨らみや揺れが目立つような動きは極力避けるようにしていたのだが、うっかりしていた。

 赤と黄色の新しいカプセルの服用に切り替えられて2週間が過ぎ、薬の効用だろうバストが目に見えて大きくなっなりだし、A カップのブラでは窮屈な大きさになっていた。

 季節外れのざっくりとしたセーターに、膨らみを抑え込むようにスポーツブラを付けて出社するようになっていた。

 今日も黒い厚手のフィッシャーマンズ・セーターを着て出勤すると、同僚から『梅雨に入ったっていうのに暑くないのか?』と訝しげに尋ねられてしまった。

「もう一踏ん張りするか!」

 竜之介は気合いを入れ直し、プログラムの世界に入り込んでいった。

          ◆

「お~い、竜之介」

 竜之介は思わずビクッとして、声の主、橋本に視線を向けた。

 橋本はこっちへ来いと顎をしゃくる。

「は、はい、、、」

 仕事に熱中している間に、昼休みになっていたようで開発室のスタッフは食事に出掛けてしまったのだろう、橋本と二人きりになっていた。
---やばっ、、、

 秘密を知られて以来、会社でどう接したらいいのかわからず、二人きりになるのを避けるようにしている。

 橋本も今日まで、不思議なほどに何も言ってこず、どこかよそよそしい態度で仕事以外の会話がまったく無かった。

 グラビア撮影の途中に姿を消して以来、橋本が何も言ってこないことは、それはそれで不気味な感じがしていた。

「なんでしょうか、、、」

 竜之介はビクビクしながら橋本のデスクに歩み寄った。

「ふふっ。 そう固くなるなよ。 み・ち・る・ちゃん」

「えっ、、、 チーフ、、、か、会社では、、、」

「誰も居ないし、中身はみちるちゃんなんだからいいじゃねえか」

「あっ、、、」

 勢いよく立ちあがった橋本に竜之介はたじろぐ。

 後ずさりするとたちまち背後の書庫に追い詰められ、身体が接するほどに橋本が迫る。

「気になってたんだけどさあ。 ムシムシする日が続いてるのにこんなセーター着て暑くねえのか、みちるちゃん」

「あっ、、、」

 橋本がセーターの胸ぐりを指で引っかけて覗き込んできた。

「あっ、止めてください、、、」

「ほ~らっ、やっぱりブラジャー着けてるのを隠そうとしてたんじゃねえか」

 更に胸元に顔を近づけ、中を覗き込んできた。

「お前、もう女装は止めるって言ってなかったっけ?!」

「………」

「これってスポーツブラって言うんだよなあ、みちるちゃん。 色気は無いけど仕事中も女の下着を着けて”みちるちゃん”してるなんてよっぽどだな、お前。 うふふっ」

「あぁぁぁ、、、 言わないでください、、、」

 パチンコ屋で見咎められてからは、女性用の下着を着けて出勤することは止めていた。

 しかし、バストが急激に膨らみだしてから必要に迫られて再びブラジャーを着けるようになっている。

「飯、いこうぜ。 みちるちゃん。 おごってやるぜ」

「あっ、、、、はい」

 竜之介は悠然と歩きだした橋本の後を追う。

――気付かれなかったぁ、、、

 恥ずかしくて逃げ出してしまいたい気持ちなのだが、胸の膨らみに気付かれていないようなのが唯一の救いだった。


            ◆

 週末だというのに、開発案件の納期が迫り、21時を過ぎてもオフィスの中にはスタッフ全員が残っていた。

 竜之介は新しく取り組みだしたプログラムに没頭している。

――あっ、、、

 画面にメール着信のサインが現れた。 橋本からだ。

《みちるちゃん。 ちゃんとチ〇ポ、隠してきてるか? 俺のたばこ休憩に付き合え。 今すぐ屋上の南端のフェンスのところで待ってろ。  ドキドキを楽しませてやる。 下着姿で両手を高く上げて万歳の姿勢で立ってろ。 誰だかわかる様に名札ぶら下げておけ。 言った通りにしてないと分ってるよな、みちるちゃん》

 JULLYに載った竜之介の写真が添付されているのは、ばらすぞという脅しの意味なのだろう。

――なっ、何て事を、、、 本気なんだろうか、、、

 橋本の方を見ると顔を伏せて資料を読んでいる風を装っているが、肩が小刻みに震え明らかに竜之介の狼狽を嘲笑っている。

――下着姿を見られるだけで済むはずがない、、、


         ◆

 昨日、トイレで用をたしていると、橋本が入ってきた。

「なんだ?! 立ションかよ?! みちるちゃんらしくないなあ」

 他に誰もいないのにわざわざ隣の便器の前に立った橋本は、竜之介の下半身を覗き込んできた。

「チ、チーフ! 声が、、、」

 いつ他の社員が入って来るか分からない場所で、大きな声を出す橋本に懇願した。

「どれどれ?!」

 近づいてきた橋本が、胸元を覗き込んできた。

「またスポーツブラか。 パチンコ屋で見たみたいなもっと色気のある下着で出社しろよなあ。 それにブラだけじゃ満足できないだろ?! チ〇コも隠してパンティ穿いてこいよ。 いいな!?」

 そう言い捨てて隣の便器で勢いよく用をたし始めた。


         ◆

 半ば脅しのように橋本に言われ、股間をタックで隠し、出来るだけ胸が抑えられる物を選んで出社していた。

 入社したての頃、一度だけ上がったことのある屋上の風景を思い出そうとしたがはっきりとは思い出せない。

 しかし周辺には竜之介がいるビルよりも高い建物が幾棟もあり、商社が入っている向かいのビルは不夜城のようにいつも遅くまで人が残っているのは知っていた。

――屋上を見てる人がいたら、、、 あぁぁ、、、 どうしよう、、、

 橋本が咳払いをし、顎をしゃくって早く行けと促す仕草を見せた。

――本気だ、、、 屋上は明るいんじゃないの?!

 不安と妖しいトキメキで心臓がドクドクと音が聞こえそうなほどに高鳴る。

――とりあえず行ってみるしかない、、、

 しばらくして竜之介はそっと席を立ち、オフィスを抜け出した。

関連記事
この記事のURL | ボクの中のワタシ | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<第4章 翻弄  ―恥辱の屋上― 2 | メイン | 第4章 翻弄  ―汚辱の快感―>>
コメント
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://hazamashamenovel.blog59.fc2.com/tb.php/388-388afb50

| メイン |