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第4章 翻弄 - パーラー - 2
2010/05/02(Sun)
――うわぁ~い!

 慣れるまでは初めてプレイする機械に少し苦戦したが、慣れてくると面白いようにボーナスゲームを引き当て、順調にコインは増えていく。

――うふふっ。 今日の目標の5万円に届いたかな?! 

 とにかく女装にはお金が掛かる。

 各シーズンの何から何まで揃えなくてはいけないし、男の服と二人分だから大変だ。

 恵理が着なくなった物をくれたり、買ってくれたりもするが欲しい物には際限がない。

 女装を卒業すると決めているつもりでも、買いたい物が頭をよぎり、ついそれを身につけた姿を想像している自分に気付いて笑ってしまう。

――ボクってしようがないなあ、、、 いっそのこと『止めるのを止めちゃう?!』か?! あははっ

「凄いなあ、ネエチャン。 笑いが止まらんみたいやなあ」

 ボーナスゲームの派手な音楽が鳴るたびにチラチラ視線を送ってきていた隣のごつい体格のおっさんが、羨ましそうに声を掛けてきた。
 
 目が合い、竜之介は茶目っ気を出してウィンクを返してやると、おっさんは「ええのぉ~、ねえちゃん」と乱ぐい歯を剥き出しにしてニヤリと笑った。

「ついてるだけです。 うふっ」

 すこしドキドキしたが、女声で応えてやるとデレッとした顔をしておっさんは下卑た笑みを浮かべた。

 時計に目をやると、JULLEYの長谷川に指定された時間が近付いている。
 
――あ~あっ、、、 まだまだ出そうだけど、メイクを直さないといけないしなあ、、、
 
 竜之介は諦めてスタッフを呼ぶボタンを押した。
 
「ぐえっ! な、何?!」

 椅子から立ち上がろうとした瞬間、いきなり背後から誰かに羽交い絞めされ、太い腕が喉をグイグイと絞めてきた。 
 
――だ、誰?! えっ?! まさか、、、
 
「くふふっ。 随分勝ってるじゃん、竜之介~~。  飯おごってくれよ~」

――やっぱり、、、 ど、どうしよう、、、 人違いってとぼけようか、、、

 竜之介が直感した通り、羽交い絞めしているのは会社の先輩・橋本チーフだった。
 
 随分と確信をもった橋本の態度に竜之介は縮みあがり、どう対処していいのかパニックになってしまった。
 
 そこへ呼び出しボタンに反応したパーラーの店員が駆け寄ってくると首を絞める腕がスッと解かれた。
 
「お止めになるんですか?」

 竜之介はコクリと頷いて席を立ち、橋本に背を向けた。

――どうしよう、、、 どうしたらいいの、、、

 周りにも聞こえているんじゃないかと思うほど心臓が激しく鼓動を刻んでいる。

 橋本はうすら笑いを浮かべ竜之介をじっと見つめていた。
 
――ボクだって分ってるんだ、、、
 
 竜之介は積み重ねたドル箱を運ぶ店員の後を黙って付いていく。 

 その後を橋本がピタリと付いて来ているのは気配で察していた。

           ◆

     

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