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第4章 翻弄 - パーラー -
2010/05/01(Sat)
《今日の撮影、頑張ってね~! みちるの可愛い画像が届くのを心待ちにしてます》

 シアトルの恵理からメールが届いていた。

「ふぅ~、、、」

――恵理は期待してるけどできれば今日の撮影、断れないかなあ?! でもドタキャンすると迷惑だろうし、行くしかないかあ、、、

 憧れていたJULLYの撮影日なのに、昨日の事があって女装姿で外出する事が怖くて竜之介の気分は重く沈んでいる。

「くっそーっ! どう考えてもあったまきちゃう、、、」

 朝食を食べながら昨日の渋谷東署での出来事を思い出すと、改めて怒りと恥辱が込み上げてきた。
 
――あんな取り調べがあるもんか! あいつら絶対ボクを弄んでただけなんだ、、、 

 お尻の中にクスリを隠していないかと言いがかりをつけ、ボールペンでア×ルをかき回される行為に、図らずも感じてしまった自分が情けなくて、今でも信じられなかった。

「そうだ! 久しぶりにパチンコ、しちゃおっかなっ。 確かあの機種はもうホールに設置されてるはずだよね」

 そう思い立つと竜之介は少し胸のモヤモヤが晴れた気がして、通勤用のデイバックから小さなメモ帳を取り出した。

「あった! これだ」

 竜之介の勤めるゲーム開発会社・デジタルシステムワークスにはパチンコ・パチスロの開発チームがあり、最近同期のスタッフに新機種の攻略パターンを教えて貰ったばかりだった。

 週末は恵理と過ごす様になってからはとんとご無沙汰になっているが、以前は教えてもらった攻略法を駆使してスロットで随分と小遣いを稼いでいたものだ。

 次々と新機種と入れ替わってしまうので、ブランクの間にパターン情報を知っている機種がホールからなくなってしまうのも足が遠のいていた理由だ。

――JULLYとの約束は3時だから、、、 4時間は遊べる! あっ、、、 でも、、、 女装でパチンコ屋さんかあ、、、

 撮影現場には”みちる”として行くのだから、当然パチンコ屋へも女装姿で行くことになる。 竜之介は今まで女装をしてパチンコへ行ったことが無かった。

 食事をしたり、ショッピングしたり短い間の人々との接触はドキドキして楽しめるのだが、パチンコホールでは腕が擦れ合うほどの近距離で隣り合う人と何時間も過ごすことになるので、ばれるのが怖くてずっと避けていたのだ。

――今日で女装するのは最後だし、、、 え~いっ、行っちゃお~っと!

 ひとたび行く事に決めてしまうと心は踊り出し、竜之介はウキウキと身支度を始める。
 
――そだっ! どうせなら約束のフォトスタジオとも近いし、会社の帰りによく行ってたパーラー・ビッグウェーブに行ってみよっかなっ?! 

 たくさんの顔見知りに最初で最後の可愛いみちるを見せつけちゃおっかなあ?! 竜之介は自分の思い付きにトキメキを覚えた。

 パーラーで過ごす自分の姿を想像しながら念入りにメイクを始めた。
 
            ◆

     

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