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第2章 新しいボク  ―嫉妬― 2/2
2010/01/11(Mon)
 明菜は、数か月前まで、通い慣れた竜之介のマンションを電柱の陰に隠れて見つめていた。

――あっ、、、 帰ってきた、、、

 時々、竜之介にしがみつき一緒に乗った見なれたバイクが駐輪場に滑り込んできた。

――たっち、、、

 階段を駆け上がる足音が聞こえ、暫くすると3階の竜之介の部屋の電気が灯った。

『週末は誰か女が泊まりにきてるんじゃねえかな?!』

 橋本チーフに聞いた言葉が明菜の頭にこびりついている。

 明菜は竜之介とは愛し合ってると信じていた。

 竜之介の部屋にあった口紅やストッキングについて竜之介が一言の弁解もしてこなかった事は明菜にはいまだに信じられない。

 しかし部屋を飛び出した後、一向に謝ってこないということは、竜之介はあのパンストの持ち主を選んだのだとしか思えない。

 自分から動いて竜之介との仲を元に戻そうとは明菜のプライドが許さない。

 橋本の話を聞き、いまさら何をしたいわけでもないのに、竜之介を自分から奪った女の顔を一目見てみたいという欲求がこの場所へと足を運ばせてしまった。

――寒い、、、

 竜之介がマンションに戻ってから既に30分は過ぎていた。

 こんな時間を過ごすのは自分が惨めになるだけで、何もいいことがないのは明菜には分かっていた。

――もう帰んなきゃ、、、

 愚かで無益な時間がバカらしくなって、その場を離れようと思った時、ヒールの靴音が近づいてきた。

――あの女なのかな?!

 一人の女のシルエットが竜之介のマンションに消えた。

 その女性が竜之介の部屋に向かったのかどうかは表からは見えない。

 明菜は暫く竜之介の部屋の灯りをぼんやりと眺めていた。

――バカだわ、私、、、 もう帰ろうっと、、、

「あっ、、、」

 立ち去ろうとした瞬間、竜之介の部屋の灯りが消えた。

 またたく間に明菜の目に涙が溢れてきた。

 少し考えればわかったはずなのに、愚かな自分に腹が立った。

 かつて自分と竜之介がそうだったように、二人は今から愛し合うのだ。

 情けなくて立ち去ろうとすると、階段を叩く複数の靴音が聞こえてきて、楽しそうな話声が階段に響いてくる。

――たっちなの、、、

 階段から出てきたのは二人の女性で、さっきの女の腕にギャル系の若い女がすがりつくようにして歩き、そして駐車場に消えた。

――あの女の人はたっちの部屋に行ったんじゃなかったのね、、、

 部屋の電気が消えたのは竜之介が一人で眠った証なのかもしれないと思うと明菜は少しホッとした。

 やがて駐車場からエンジン音が響き、駐車場から勢いよく車が出てきた。

「えっ?! たっちの車だわ、、」

 見覚えのある竜之介の車は走り去り、助手席には確かにさっきの女が乗っているのが見えた。

――どういうこと?! 運転していたのはたぶん隣に居た若い女、、、 たっちが車を貸したのかしら、、、 もう一人の若い女はどの部屋の住人なの、、、

 明菜には訳がわからなかった。 

 しかし確かに二人の女性は、竜之介の車に乗って出かけたのだ。

 マンションを見上げると確かに竜之介の部屋の電気は消えたままだった。

     


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