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第2章 新しいボク  ―恵理― 2/2
2020/07/01(Wed)
「ねっ、これどう?!」

「えっ、、、 そんなセクシーなのって、、、」

「うふふっ。 レディのお洒落はインナーからですよ」

 竜之介は、理恵がよく利用しているらしいインポートものばかりを扱っている高級そうなランジェリーショップにいた。

 理恵は陳列してある商品を片っ端から手にとり、竜之介の身体にあてては鏡に映る竜之介の姿を嬉々として愉しんでいる。

「わあ! こっちも可愛い。 ねっ。 どう?!」

「ええ、、、 素敵です、、、」

「みちるさん。 遠慮なくご試着してくださいね」

 店の奥から店長が声を掛けてきた。

「ええ、ありがとう。 オーナー」

 理恵の声とともに竜之介もペコリと頭を下げた。

「うふふっ。 みちるさんですって。 オーナーったら竜之介さんとお話ししたくて仕方がないんだわ」

 店に入った時、理恵はオーナーに『私の従妹のみちるちゃんです』と竜之介を紹介していた。

 話好きでいつもは買い物の間中そばに付き添うオーナーを、『今日は私がみちるちゃんの勝負下着を選んであげたいから構わないでくださいね』と話に加わってくるのを理恵はきっぱりと遠ざけていた。

 それは竜之介の声を聴かれたくない理恵の気遣いだと直ぐに分かった。


「あっ、みちるちゃん。 これはっ?! 私とお揃いになるわ。 うふふっ」

 輝くような白いレースがたっぷりと使われたショーツを理恵はオーナーに聞こえよがしに嬉しそうにかざす。

「うん、、、 とっても綺麗です、、、」

「ふふっ。 どれにするか迷っちゃうわね」

「ええ、、、」

 竜之介は買い物をするつもりだったので、そこそこの金額を持っていたが、ショーツに付いている5千円の値札を見て怖気づいていた。

 しかし、理恵が連れてきてくれた店なので、何か一つくらいは買わなければいけないとは思っている。

「全部頂いちゃいましょうか?!」

「あっ、いや、、、 理恵さん。 ボク、そんなにお金持ってないです、、、」

「ううん。 これもお詫びの印に私からプレゼントさせてください。 あなたが綺麗になるお手伝いがしたいの」

「えっ、そんな、、、 こんなに高いものを、、、」

 選んだショーツやキャミソールを手に、理恵は微笑みながらキャッシャーへ歩いて行った。

          ◆ 竜之介と理恵は、買い物が済んだ後に行った居酒屋であっという間に打ち解けた。

 ”竜之介の女装”という秘密を共有している事が二人を急速に近づける。

 人に言えない秘密の愉しみを隠す必要がなく、知った上で応援してくれる理恵の出現は竜之介の心を軽やかにした。

 女装して初めて外で摂る食事は、”街に溶け込んでいる女の子”を実感させ、竜之介はウキウキしていた。

 しかも女装した架空の女の子に”みちる”という名前が付いたことがことのほか嬉しかった。

 仕切り板で区切られただけだが、個室風の席だったこともあって周囲にあまり気兼ねすることなく話すことが出来る。

 様々なジャンルで二人の好みはよく似ていて、絵里、みちると互いを呼びあい、酔いも手伝い初めてのガールズトークは随分と弾んだ。

 お淑やかに見える理恵が数年前までは竜之介と同じメーカーのバイクに乗っていたという話には、竜之介はビックリしてしまう。

 とても女性らしいしなやか仕草で魅惑的な笑みを浮かべる理恵からは、バイクを転がしていた姿はとても想像できない。

 反面、仕事が忙しいせいなのか、化粧法やファッションの流行にはそんなに関心がないようで、竜之介の方がよほど詳しい。

 ファッションの話や化粧について話が及ぶと竜之介の独壇場だ。

「すご~いっ! 私なんかみちるの足元にも及ばないわ。 凄く研究してるんですものね」

「そりゃ、理恵は何もしなくってもホントの女だし、そんなに綺麗なんだもん。 ワタシはそれ以前の問題からクリアしなきゃいけないんですもん」

「うふっ。 今度私に化粧教えてくれないかしら」

「えへっ?! 別にいいけど。 じゃあその代わりにまだ一人じゃ自信ないから買い物、時々付き合ってくれる?」

「もちろん! 喜んでお付き合いするわ。 私は”究極の女の子・みちる制作委員会”の会員一号で~す。 うふふっ」

「なによ、それ。 ふふっ」

――かっ、可愛いなあ、この子、、、

 竜之介は理恵は笑うと、目がへの字になって何とも言えない人懐っこい顔をすることに気が付いていた。

――あらら、、、 ボク、この人のこと、好きになってるよな?!、、、

 竜之介は目の前で微笑む理恵のことが大好きになっているのに気がついた。

――これって異性として好きなのかなあ?! それとも女同士の友情か?! 

 その後もまるで仲の良い女の子同士のようにアレコレ他愛のない話で盛り上がり、店を出る頃には、次の日曜日に天気が良ければツーリングにいくデートの約束を交わしていた。


     

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