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第6章 コウジ  ―休日出勤2日目(2)―
2020/08/03(Mon)
 仕上がった仕様書を緊張した面持ちで橋本に手渡す。

 時間は2時を少し過ぎてた。

「休みだったのにごくろうさんだったなあ。 俺は明日からの準備があるから先に帰るな」

 渡した資料をパラパラとめくりながら橋本はあっさりと言った。

「はい、、、」

 その時橋本の携帯が鳴り、すぐに電話を取った。

 橋本の意外な言葉に竜之介は驚き、ホッとしたが、不気味な感じもする。

 とにかく橋本の気が変わる前に帰ろうと急いでスーツを身に着けた。

 挨拶をして開発室を出ようとすると、電話をしていた橋本が手で制し、待てと合図を送ってきた。

 電話を終えると、橋本が会社のロゴの入った封筒を持って近づいてくる。

「今からこの資料を取りに業者が来るから渡してくれるか?!」

「そんなっ! この格好じゃ会えません!」

「いや、大丈夫だ。 山科のおっさんだから」

「えっ?!」

「支払い関係の書類だ。 急いでるらしくて取りに来やがった」

――チーフの狙いはこれだったんだ、、、

「ど、どうして、、、 こんな酷いことばかりを、、、」

「はあ? 酷い!? どういう意味だ? 今日投函するつもりだったんだが、資金繰りに困って焦ってるおっさんが勝手に取りに来たんだ。 ちょうどお前が居るならこの前のシステムの確認が出来るしちょうどいいだろ?!」

「こ、この前のシステムは急がれてるというので、もうとっくに検収を上げてますから、山科社長と何も話すことはありません!」

「まあ、そう言うな。 おっさん、お前に会えると分かるとすっげー喜んでたぜ」

「会うのはあの時が最初で最後だと言ってたじゃないですか?!」

「そんなに嫌か? ん?! まさかお前、この前山科システムに行った時、あのおっさんと何かあったのか?」

「い、いえ、、、 何も、、、」

―――知ってるくせに、、、

「ふ~ん。 まあ、何があったのかは知らないが、お前が担当してる下請け会社に必要な資料を渡すだけじゃないか。 だろ?!」

 橋本はニヤついて言った。

「おっさんは俺が商談室まで案内しといてやるから、後はよろしく。 まあ、下請けさんと仲良くしとくってのは会社にとっていい事だからな。 話が済んだらそこから先は自由だ」

「あぅぅ、、、 はい、、、 お渡しするだけでいいんですよね、、、」

――あの日の事、知らない訳はない、、、 富岡刑事に繋がってるくせに、、、

「飯を食いに行くなり、デートするなり、好きにしな。 頼んだぜ、速水みちるさん」

 そう言い捨てて、橋本は開発室を出て行った。


      ◆


 商談室から明かりが漏れている。

 既に山科社長は来ているようだ。

―――この資料を渡すだけでいいんだよね、、、

 先週のアムールでの事を山科が竜之介だと気付いてない事を、知らないことを祈る思いで竜之介は商談室に足を踏み入れた。

「どうも、、、 山科社長、ご無沙汰しています、、、」

「おお~~っ。 これは、これは! 速水さんにお会いできて嬉しいなあ! 貴女も休日出勤だったんですか? 頑張りますねえ」

 山科は立ち上がり、竜之介の手を取り握手を交わす。

 しつこく手を握り続けるグローブのような山科の手にアムールでの出来事が嫌でも脳裏に蘇ってくる。

―――ボクはこの男に口を犯され、精液を飲まされた、、、

 射精された瞬間、妖しい快感に飲み込まれてしまった記憶が、心を騒めかせる。

 しかし山科の媚びるような態度は、アムールで口淫した相手が竜之介だとは感づいていないようでホッとした。

「ええ、、、 あの、これを橋本から預かってまいりました、、、 では私はちょっと急ぎますので」

「ありがとうございます。 でもまあそう言わないで、ま、まっ、座ってくださいよ、速水さん。 とりあえずそこのスタバでコーヒーを買ってきてますから。 どうぞ飲んでください。 ねっ!? も少しお時間いいでしょ?!」

「ありがとうございます。 それじゃあ少しだけ」

 竜之介は封筒を手渡してすぐに帰ろうと思っていたのだが、仕方なく山科の向かい側に腰を下ろした。

「お休みだからですか、この前お会いした時と感じが違いますねえ、速水さん。 お化粧が少し濃い目なんですかね。 あっ! この後デートかな?!」

「まっ、まあ、そんなところです、、、」

「お相手が羨ましいなあ~」

 山科は、次の仕事が欲しいのか、今回の案件でいかに工夫を凝らして良いシステムに仕上げたか自慢話を話だし、そして自社の手掛けたシステム事例のファイルを開いて、滔々と説明を始めた。

 受け取ったコーヒーに口を付けた途端、携帯に着信があった。

 橋本からだった。

「すいません、山科社長。 ちょっと失礼します」

 席を立ち、ブースを外れて電話に出た。

「もしもし、、、」

『おう。 山科のおっさんに渡してくれたか?』

「はい。 資料はお渡ししました」

『そっか。 ありがと。 今日はご苦労さんだったな、竜。 後は好きなように休日を楽しんでくれ』

「はい、、、 直ぐに帰りますから」

「まあ、ご随意に」

 電話が切れ、竜之介はため息をついた。

 席に戻り、30分ほど山科の自慢話に付き合いようやく解放されて、エレベーターに乗る山科を見送った。

          ◆

 竜之介は顔を真っ赤にして通用口を駆け抜け、表に飛び出した。

 守衛室でGUESTカードを返した時に守衛に言われた言葉に、竜之介の心臓はまだドキドキしていた。

『お嬢さん。 ビルの中だからまだしも、お楽しみはほどほどにしておかないと捕まってしまうよ。 このビルの中にだって監視カメラはたくさん設置されているんですからね』

 竜之介はこの警察官上がりのこの老ガードマンとウマがあい、時々守衛室でお茶をご馳走になって世間話をすることがあった。
    
 外からは見えないが中に入ると壁面にたくさんのモニターが掛かっていて、各フロアの監視カメラの映像が映っていたのを思い出した。

『ほら、見てごらん』



 

守衛室の小窓から覗き込んだモニターに再生された映像は、下着姿でコーラを買いに行かされた時のものだった。

『この映像は、機械が故障したことにして消しておいてあげるよ。 橋本君には僕からいい加減にするよう言っておいてあげるから』

――モニターで見られていたんだ、、、

 自分の恥ずかしい姿が映り、それを守衛室で見られていたのかと思うと叫び出したいほどに羞恥心が込み上げてくる。

 竜之介は、逃げる様に足早に駅に向かって歩いた。


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第6章 コウジ  ―休日出勤2日目―
2020/08/03(Mon)
―翌朝7:00―

(ピンポン、ピンポン、ピンポン……)

 玄関チャイムの音がせわしなく鳴り、竜之介はガバッと跳び起きた。

「お~い開けろ~、竜之介~っ! 俺だ~っ! 迎えに来てやったぞ~」

(ドン、ドン、ドン、ドン)

「橋本チーフ?! うそっ、、、 こんなに朝早く」

 なおも橋本はドアを叩きながら大きな声でがなる立てている。

――どうしよう、、、 着替えなきゃ、、、

 ナイティで寝ていたことを橋本に知られたくはなかった。

 慌てて着替えようとベッドを抜け出したが、橋本はドアノブをガチャガチャさせ大声を出すのをやめようとしない。

――静かにしてっ! 隣のおばちゃんが来ちゃうよ、、、

 越してきたばかりの隣の部屋の住人は、気難しいそうな中年のOLで、理恵と騒いでいる時に怒鳴りこまれた事があった。

「開けますから大きな声を出さないでくださいっ!」

 竜之介はドアに走り寄り押し殺した声で言った。

「何してんだよ。 早く開けろよ、竜之介~~」
(ガチャ、ガチャ、ガチャ)

――ちくしょお、、、

 竜之介はやむなくドアを開けた。

「お~っ! 可愛いねえ、竜之介。 寝る時もみちるちゃんで寝てるのかあ」

 橋本は白のチビTとピンクのフレアパンツを着た竜之介を舐めまわすように見つめ、ズカズカと部屋に上がり込み、どかっとベッドに座りこんだ。

「お前の部屋に来たのは久しぶりだけどまるで女の子の部屋だな」

 橋本は壁に吊り下げたワンピースやキャミソールを見てニヤリと笑みを浮かべて言った。

 昨夜とは打って変わった橋本の態度に竜之介は戸惑いを覚える。

「あのぉ、、、 会社へは9時でよかったんですよね?!」

 竜之介は手で胸を覆いながら橋本に強い口調で言った。

「ふふっ。 ちゃんと女の子の声で喋って賢いじゃん」

―――どうせ普通の声で喋っても許してくれないくせに、、、

「そうだけどさ。 守衛に時間外届けを出しに行ったら、今日は俺達だけだったからさあ。 お前に会社でもOLごっこをやらしてやろうと思いたったって訳さ」

「えっ?! 冗談でしょ、、、」

「いや、本気さ。 この前、山科システム行ったときだってお前凄い楽しそうだったぜ。 電話で言っても言うこと聞かないと思ってわざわざ迎えに来てやったんだ」

 会社の外で滅多に会わない外部の人間相手に演じたのとは訳が違う。

 他に出社予定者がいないといってもトラブルがあれば急遽出社する人もいるのだ。

「そんなこと、無理です! 許してください。 チーフ、、、」

 こんなむちゃを言うならもう手伝わないぞと喉まで出かかった。

 橋本に握られている弱みを考えると、もう殆ど完了している韓国の見直し案件は交換条件には弱すぎる。

「いつも朝にシャワー浴びるんだろ?! その間に俺が着ていく服探しておいてやるから」

 そういうと、橋本はクローゼットに歩み寄り勝手に服を物色し始めた。

「早く支度しろよ!」

「、、、はい」

 竜之介は仕方なくチェストから下着を選んで、バスルームに向かった。


          ◆



 着替えに用意していた下着が見当たらない。

 シャワーを浴び、バスタオルを巻いただけの恰好で竜之介はバスルームを出た。

――やっぱり、、、

 ベッドに腰を下ろした橋本がショーツを指に引っかけグルグル廻していた。

「安心しろ。 何もしねえよ。 朝からエロモード突入して仕事する気がなくなったら俺が困るからなあ。 今日の下着はコレだ」

 橋本が背中に手を廻し、背後に隠していた黒のランジェリーを取りだして竜之介に向かってかざした。

「チーフ! 女装して出勤するのは無理です! 赦してください、、、」

「ぐずぐずすんなよ、竜之介~。 それとも出勤前に俺の新鮮ミルク、欲しいのか?」

「あっ、いえ、、、 わかりましたから」

 竜之介は、隣の部屋を気遣うことなく大声で話す橋本に怖気づいた。

「あっ、、、」

 橋本が持つブラジャーに手を伸ばすと、スッと手が引っ込められてしまった。

「先にバスタオルを外せ」

 橋本はブラジャーに頬ずりしながらニヤニヤ笑って言った。

「あぅぅ、、、 はい、、、」

 竜之介は明るい部屋の中でバスタオルを取り、湯上りの紅潮した素肌を橋本にさらして下着を受け取った。

――恥ずかしい、、、、

 手にした黒い下着は、女装して何度目かのデートの時、理恵にランジェリーショップで買ってもらった物だった。

 理恵との思い出の下着を身に着けていくその一部始終を『ふん、ふん』と橋本は鼻息を鳴らし、じっと眺めている。

「それはハーフカップブラっていうのか? 乳首が見えそうだな。 あの女と露出プレイする時に着てたのか?!」


――あぅぅ、、、 言わないで

 理恵との野外での恥戯を見られている橋本のいたぶりの言葉は、竜之介の被虐心を一気に昂らせていく。

 メイクを施し、髪を整えている間も橋本は引き寄せた椅子の背に肘をつき、竜之介の変身を楽しそうに眺め続けた。

「やっと出来たか。 女の身支度ってのは時間がかかるよなあ。 しかしこうやってみるとお前、マジで女にしか見えんなあ」

 橋本が鏡を覗きこみしみじみと言った。

「今日はこのスーツで出勤だ」

 橋本がクローゼットから引っ張り出してきたものは水色ののミニ丈のスーツだった。

――理恵に貰ったスーツ、、、

 橋本が手にしているスーツを目にして竜之介は胸が締めつけられた。

 理恵が着ていたのを竜之介がねだってアメリカに旅立つ前に貰ったもので、まだ袖を通したこともないスーツだった。

「おっ、いいじゃん。 いつでもパンチラサービス出来るなあ」 

 橋本に見詰められながら身に着けたスーツは思いの他タイトな造りで、竜之介の身体にぴったりと張り付き、スカート丈は思った以上に短くて股下10センチ程しかない。

 少しかがめばショーツが覗けそうなシロモノだった。

「さあ、行くぞ。 竜之介」

「、、、はい」


          ◆

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第6章 コウジ  ―休日出勤―
2020/08/02(Sun)
 週末の金曜日、竜之介はチームスタッフの中島と昼食を済ませ、オフィスへ戻りながら明菜の事を考えていた。

 相席になった総務部のスタッフが、父親の看病の為に帰省していた明菜が、一昨日から復帰しているという。

『前ははっきりとモノを言う人だったでしょ?! ところが人が変わったみたいに大人しいの。 まだお父さんの容体が芳しくないんじゃないかしら?!』

 同僚が言った明菜の様子は、竜之介を複雑な気持ちにさせた。

 親の看病というのは嘘で、明菜は竜之介を公園で放置した日に並木に連れ去られ、10日以上も富岡達の調教を受けていたのだ。

 そして富岡が明菜を解放したということは、明菜の調教が終わったということだろう。

 ア×ルとヴァギナを同時に犯され、明菜の野獣のように叫びながらよがり狂う痴態を思い浮かべると本当に現実だったのか今でも信じられない。

 目隠しされていたので顔を見た訳ではないが、富岡の口ぶりとお尻にあった蝶の痣はまぎれもなく明菜だ。

――申し訳ないけど、今さらボクがどうしようもしてやれない、、、

 玲奈ママに性感が昂る薬を投与されているらしいと聞き、明菜らしい女のあの狂ったような痴態の異様さに得心がいった。

 あのまま妖しい薬漬けにされて、闇の世界に沈まされてしまわないかと案じていたのだが、とにかく仕事に戻っている事に少しは救われる気がした。

 一人の人間をあんな風に平然と扱う彼らの恐ろしさを思い知り、彼らに存在を嗅ぎつけられた理恵を絶対巻き込んではいけないと改めて思う。

 開発室に戻っても、頭によぎるのは恵理の事ばかりだ。

 昨夜‪10時頃‬、理恵から掛かってきた電話に出ず、留守電に切り替えた。

 いつも悦び勇んで出る理恵からの電話に初めてのことだ。

 富岡が自分と理恵の関係に意味深な言い方をしたからだ。

 奴等との関係を断てない限り、愛する人が富岡達の毒牙に巻き込まれるかもしれないと思うと竜之介はいたたまれない。

 ただの脅しかも知れないが、自分が従っているうちは理恵には手を出さないだろう。

 結局、富岡達との関係を断つことが出来ないなら、恵理とは前のように付き合えないのははっきりしている。

 それに金で売られた相手に感じまくり、その人に女として恋心を感じ始めている自分は理恵を裏切っているに違いなく相応しくない。

 理恵が帰国するまでもうあまり時間が残されていない。

 理恵と別れ、関係を断つしか理恵を守るために取りうる手段を今の竜之介には思いつかなかった。

 留守電に残された理恵の声を聴いて竜之介はボロボロ泣いた。

 そして、泣きながら打った別れを告げるメールを理恵に送った。


       ◆


「どこ行くんですか?! さっきから何か心ここにあらずって感じですよ」

 開発室の入口を通り過ぎていた竜之介に中島が声を掛けた。

「あっ、いや、、、別に」

 少し照れたように笑みを浮かべ、竜之介は振り返った。

「それにしても速水さんの肌ってホントに白くてとっても綺麗ですよね~っ。 羨ましいくらい」

「なんだよ、それ、、、」

 中島が竜之介の顔を見つめて、しみじみと言った。

「何か特別にお肌のお手入れしてるんですか?」

「そ、そんなもんしてないよ。 男だしそんな必要ないしさ、、、」

「最近、テレビで女装コンテストってよくやってるじゃないですかあ。 速水さんなら良い線いくと思いますよ」

「バ、バカなことを、、、」

「入口でつまんね~ことくっちゃべってんじゃねえよ。 まっ、竜之介だったら優勝間違いなしだなっ」

 竜之介の身体が思わずビクッとすくむ。

 韓国出張でいないはずの橋本が二人を割って入るようにして話しかけてきた。

「あれ~っ?! 橋本チーフ、お帰りなさ~い。 戻られるのは来週じゃなかったでした?!」

「あ、、、 お疲れ様です」

 愛想を振りまく中島の隣で竜之介もペコリと会釈した。

「おう、ただいま」

「韓国の開発チームはいかがでした? 今度は私も連れていってくださいよ~」

「またいつかな。 あっ、そうだ。 竜之介に頼みがあるんだ」

「えっ?!」

 橋本は竜之介の肩を抱き、開発室に入っていった。


          ◆

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第6章 コウジ ― 恋心 ―
2020/08/02(Sun)
 竜之介は下着姿でドアの前に佇む。

 大きく息を吐き、意を決してドアをノックすると、中から『どうぞ』と声がした。

 ドアを開けると、明るい部屋の中央に置かれたソファに、オールバックのスーツ姿の中年男性が足を組んで座っていた。

「ほお~! 想像通り君は白がよく似合うね! とても綺麗だ!」

 男は、竜之介を見るなり相好を崩し、下着姿で羞恥に震える竜之介をしげしげと見詰めた。

「お腹空いてないかい!? 食事まだなんでしょ」

 視線に耐えられず俯いているといつのまにか傍に立っていた男の顔を竜之介は見上げた。

―――背の高い人、、、

「こんな殺風景な場所で君を抱くのは詰まらん。 とにかくここを出ようか。 どこにカメラが隠されているか分からんしね」

 竜之介はボー然と男の話を聞き、立ち尽くしていた。

「さっ、早く服を着なさい」

「は、はい、、、」

 ベッドの上に着てきた服が置いてあった。

 竜之介はベッドに駆け寄り、男に背を向け急いで服を身に着け始めた。

 指が震え、ブラウスのボタンがうまく止められないで焦っていると、男がそっと手を差し伸べ、手伝ってくれた。

「あ、ありがとうございます、、、」

「ふっ。 そう緊張するな。 というのは無理があるかな?! ははっ」

 スカートを穿き、ジャケットを着ると、紳士はにこりと笑みを浮かべ、竜之介の横に立った。

「君となら楽しいひとときを過ごせそうな気がしてるんだ」

 そしてくの字に曲げられた右腕が、みちるのわき腹に当たる。

―――どういう意味、、、 えっ?! 腕を組めってことなの、、、

 恐る恐る腕を差し入れると「行こうか」と言って歩き出した。

―――なんなの、この人、、、

 竜之介は男の不思議なペースに引き込まれ、男にすがる様にして店を後にした。


         ◆

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第5章 女のカラダ ― 玲奈 ―
2020/07/30(Thu)
「苦しかったでしょ?!」

 玲奈ママはスタッフルームに連れ帰られ、ソファに呆然と座る竜之介の手枷を外し、全頭マスクを丁寧に頭から外した。

 数時間ぶりに顔に密着していたラテックスのマスクが外されると、開放感でホッとした。

「脱がせてあげる。 立って、みちるちゃん」

 汗に塗れたストッキング生地のボディスーツは、ほぼ透明な状態で肌に纏わりつき、脱がせづらそうだ。

「これ、あちこち伝線してるからもういいわね」

 そう言うとデスクから裁ち鋏を取り出したレナは、躊躇せずボディスーツの節々に鋏を入れて数辺の丸まった布切れにして、竜之介の身体から剥がした。

 玲奈にされるがままに、竜之介は佇んだまま全裸になった。

 甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる玲奈は、卑劣な富岡絡みの人物の中で、唯一竜之介を気遣ってくれる人のように思えた。

 短時間に襲った様々な出来事に竜之介の心は千々に乱れている。

 応じなければ理恵に手を出すぞと暗に脅され呼び出されたこと、、、
 
 元カノの明菜が自分への復讐の過程で、富岡達に絡めとられ、マゾ調教を受けていたこと、、、

 今日出会ったばかりの取引業者の社長・山科とその明菜の前後の穴を同時に交わってしまったこと、、、

 明菜のア×ルを貫いた山科のペ×スにフェラチオを強要されこと、、、

 そして何よりその肉棒に舌を絡める屈辱の行為に目眩がしそうな程興奮し、口の中に精液を吐き出された瞬間、ある種のアクメに達してしまっていた事に衝撃を受けていた。

「汗を流しましょうね」

 玲奈は呆然と立ち尽くしている竜之介に優しく言った。

 視線の先には、部屋の角に設えられているガラス張りの小さなシャワーユニットがあった。

「その前におちんちんの戒めを外しておかなきゃね。 可哀想に、、、 逝くに逝けなくて辛かったでしょ?!」

「あぁぁ…  はい…」

 玲奈は今もなお勃起したままで、根元をパッキンで血流を止められ鬱血し、重く感じるほどの竜之介のペ×スを手に取り、優しく言った。

「これ、切ってあげる」

 怜奈は竜之介の前に跪き、包装用の紐を切る輪状のカッターを手にしてペニスの根元を持つ。

「行くわよ」

 刃先をペ×スの根元のゴムパッキンに差し込み、カッターを引く。

 パッキンがブツッと切れた瞬間、玲奈は竜之介のペ×スを咥えた。

「あっ、ママ! 出ちゃう、、、 あうっ、ああ、おおおお……出るう、でちゃう~~~~っ」

 とっくに限界を超えていた竜之介は、行き場を失っていた精液を堰を切ったように一気に玲奈の口腔に吐き出す。

 玲奈は逃れようとする竜之介の腰を抱きしめ、顔を股間に密着させた。

 ドク、ドク、ドク  ドク、ドク、ドク

「あくぅぅ、、、」

 精子を勢いよく放出する快感に痙攣したように小刻みに腰が震えた。

「ふぅ~っ。 凄い量ね! 美味しかったわ」

 顔を上げた玲奈は、ゴクリと喉を鳴らし、舌なめずりしながら言った。

 放心したようによろける竜之介は、玲奈に抱えられてソファに身体を預ける。

「ねえ。 今日はア×ルにオチンチンを入れて貰ったの?」

 隣に座った玲奈が竜之介の乳首に指を這わせながら尋ねると、竜之介は首を横に振った。

「あらまっ?! それは残念だった?! のかしら?!」

 竜之介もそれは不思議に思っていた。

 アムールに向かう電車の中で、DVDにあったように絶対にアナルを犯されると思っていたのだが、性器で犯されることはなかったのだ。

「何もして貰えなかったの?!」

「…お尻に挿れられていたビーズがたくさん付いたもので何度か、、、」

「そう。 器具で弄ばれたなら粘膜が傷ついてるかもね。 消毒のために浣腸しておきましょうね」

「えっ?! 浣腸ですか、、、」

「便には、ばい菌がいっぱいいるでしょ」

 確かに山科には『竿付きのケツマ〇コには興味がない』とビーズを手荒に出し入れされ、快感より痛みを覚えた。

 直腸の粘膜に傷が付いている可能性はある。

「はい、、、」

 玲奈に促され、足を開いてお尻を差し出す。

 やがて、ア×ルに冷たいものが触れ、そして徐々に暖かい液体が体内に入ってきた。

「あぁぅぅむ、、、 くぅぅ、、、」

 どんどん、どんどん液体がお腹を満たしてくる。

 後ろを振り返ると、大きな浣腸器のシリンダーが根元まで押し込まれていた。

「はい、おしまい。 シャワーでさっぱりしてらっしゃい」

 汚された全身を一刻も早く洗い流したかったので、竜之介は足早にユニットの中に身を入れた。


      ◆

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