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2020/09/12(Sat)
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「真梨子14歳」 - Crystal marriage -
2020/09/28(Mon)
 真梨子は昨日地下のキノコ部屋で見てしまった両親の衝撃的な痴態が頭から離れない。

 幼い頃『お父さんと結婚する』と言ってた程好きでたまらない父が、あんなに愛している母をあんな愛し方をしていたのは驚愕だった。

 あんなに慎ましくたおやかで優しい母が、自由を奪われた身体を狂ったように揺らし、快感によがり狂う様は今も信じられない。

 しかしその姿を真梨子は美しいと思った。

 買い物に一緒に出掛けようと階下の母が声を掛けてきたが、『今日は行かな~い』と返事を返した。

 休みの日、母と買い物に行くのが大好きで、一緒に行かなかったのは1年前に風邪をひいて寝込んでいた時だけだ。

 心配そうに母が真梨子の部屋に顔を出す。

「大丈夫。 身体の具合が悪いんじゃなくて友達とチャット中なの」

「なぁ~んだ。 心配しちゃった。 じゃあ行ってくるわね」

「いってらっしゃ~い」

 母が買い物に出かけたのを確認し、真梨子は階下に降りていった。


   ◆

 納戸のなかに家中の予備キーが入ったキーボックスがあり、母が地下のキノコ部屋を掃除に行く時鍵を取り出しているのを見たことがあった。

 それぞれの鍵には玄関とか勝手口とか札が付いているのだが、一つだけ名札の代わりに赤いリボンが結ばれた鍵があり、それを取り出して地下に向かった

 父の「キノコ部屋」の前に立つだけでドキドキしてきた。

 キーを差し込み回すとガチャリと音がして鍵が開いた。

―――やっぱりこの鍵だった、、、

 あの衝撃の光景を目撃したあの部屋をもう一度見たいという欲求が、父と母の秘密を覗き見する罪の意識を押しのけた。

 中の開き戸を開け、電気を点けると母が吊るされていた檻が目に入った。

 檻の中に入り、吊るされた鎖の先の金属の手枷に触れてみた。

―――冷たい、、、 これに昨日母さんが、、、

 昨日見た衝撃の光景が目に浮かび、身体が火照り疼いてきた。

 檻を出て部屋の中を見回し、目に入ったチェストに歩み寄り、少し戸惑いながら引き出しを開けた。

「きゃっ…」

 引き出しの中には、いやらしいグッズがたくさん入っていた。

 男性器を模したモノや、首輪、使い道の分からないものもある。

 次の段には透明な大きな注射器のようなものが置いてあった。

―――あっ、、、 浣腸器?!

 両親の夜の秘密を盗み見している罪の意識と、その秘密の限りないいやらしさに心臓が激しく鼓動を打つ。

 震える手でもう一段下の引き出しを開けると、カタログや写真集など冊子がたくさん収められていた。

 海外のオーダーメイドの革の拘束具のカタログには妖艶な外人モデルが装着した写真がふんだんに使われ、カタログというよりとてつもなくいやらしいエロ本の趣だ。

 次の本を手に取ると、縄で縛られた女性の写真集だった。

 宙吊りにされた女性の乳房が、縄で絞り出されて歪な形で飛び出し、縄が股間に喰い込み姿を隠している。

 無垢な真梨子にはどれもこれも初めて見る類の刺激が強い写真で、股間が凄く濡れてきているのが自分でも分かった。

 引き出しの底に、アルバムが入っていた。

 取り出して開いてみると、一年前に水晶婚(15周年)のお祝いにと、真梨子を母の実家に預けて夫婦二人で旅行に行ったことがあったが、その時の写真があった。

 結婚した時は、式を挙げられなかったので、旅先の教会でウェディングドレスを着て撮った記念写真を母に見せられた時、真梨子は感激で涙ぐんでしまった。


 母想いのやさしい父親と、幸せそうに父に健気に尽くす母親を誇りに思い、将来はこんな結婚をしたいと願う憧れの写真で、焼き増してもらって自分のアルバムにも貼ってある写真だ。

「えっ?!」

 次のページをめくって思わず声が出てしまった。

 背景は同じ教会だが、母が着ているウェディングドレスが違う。

 ショーツの下端が覗いている程のミニドレスに変わっていた。

 次のページを開くと更に真梨子を驚かせる写真があった。


 ウェディングドレスを脱いで真っ白のウェストニッパだけを身に付けた母が、父の腕を取って微笑んでいる。

 母の下半身には陰毛がなく、乳首と局部には白く光るリングが輝いていた。

「はぁー…」

 真梨子は思わず深いため息をついた。

 乳首と陰部のリングはピアスなのだろうか、真梨子は身体にこんな装飾品を付けることを望む父に従う母に驚く。

 性の経験のない真梨子は両親のこんなにも異様な愛し方に接し、嫌悪感を抱くどころか二人の愛の深さに感激し、涙が滲んできた。

 そして14歳の真梨子の大人になりかけた蜜壺は、しとどに淫汁を溢れさせショーツをぐっしょりと濡らして、重さを感じる程になっている。

 もうこれ以上、二人の秘密を覗き見することは許されないと罪の意識に苛まれた。

 取り出したものを注意深く元の位置に戻し、真梨子はキノコ部屋を逃げる様に後にした。


     ◆

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第10章 麻里絵  ― 計画実行 ―
2020/09/24(Thu)
 2月が終わりかけた頃、門田弁護士からこの前に連絡していた”遺体を使う”と連絡があった。

 竜之介として最後に誰といつ接触したかを確認され、その日時なら遺体の死後推定時間に齟齬はないと言われた。

 いよいよ速水竜之介抹消計画の実行だ。

 翌日の土曜日、朝1番に借りっ放しにしていたマンションにみちるの荷物を引き上げに向かった。

 ”新垣 みちる”に繋がるものは絶対残しておくわけにはいかない。

 そして行方不明になり死亡したことになる竜之介の荷物はそのままにしておくよう門田弁護士に指示を受けていた。

 残念でしょうけど、卒業アルバムとかも絶対に持ち出してはダメです!思い出も捨てるのですと釘を刺された。

 残したものは親御さん達へのあなたの遺品となるのですからと言い添えられた。

 戸籍を捨てるとは、そういうことなんだと改めて思い知り、覚悟を新たにした。


      ◆

「こんにちは、、、」

 引越しの荷造りをしているところに竜司が突然現れた。

「どうしたの?! 突然、、、」

 みちるはいきなり現れた竜司に狼狽した。

―――よかったあ、、、 メイクしてて

 竜司は竜司で、以前泊めてもらった時、洗濯カゴの中にあったショーツに精子をぶちまけていたことがばれていないか少しヒヤヒヤしていた。

 作業を始めた時は、まったくのスッピンで、髪も後ろに束ねただけだったのだが、近隣のお世話になっていた人達に挨拶に行こうと化粧をし終わったばかりだった。

「僕、一応大学に受かって東京に住むことになって、マンションを探しに来たんです、、、」

「あら、それはおめでとう! 良かったわね」

「ありがとうございます。 あれっ?! 引越しですか?」

 作業の手を休めないみちるのショートパンツ姿に見とれながら竜司は言った。

―――細くて綺麗な脚だなあ、、、

「えっ、ええ、、、」

「それで住むところを竜にぃに相談しようと思ったんですが、全然連絡が取れなくなっちゃって、、、 兄貴、居ます?!」

「居ないわ…… あのね、竜司君…… 私達、別れちゃったの、、、」

「え~~~っ!? ど、どうして、、、」

「たぶん新しい女の人が出来たのかなって…… 会社も辞めちゃったみたいだし」

「えっ、マジっすか?!」

「そうみたい。 私もここに住み続けられないし、ちょうど私の転勤も決まったので、今引越しの荷造りしているところなの。 もうすぐ業者さんが荷物を取りに来てくれるわ」

「そうなんですか、、、」

 竜司は、二人が別れた事、会社を辞めていた事を聞き驚いてしまった。

「で、みちるさん、、、竜にぃの連絡先、知らないですか?」

 振られて別れた兄の事を聞くのは不躾かと思うが、他に手立てがない

「ごめんなさい、、、 私も分からないのよ。 突然出て行っちゃって、、、携帯も繋がらないし、、、」

「そうなんすか…… 何かあったのかなあ?!」

 宙を見つめて竜司は考え込んでいる。

「ところで、みちるさん、どこに引っ越すんですか?」

「シンガポールよ」

「えっ?! 海外ですか、、、 いつ出発なんですか?」

「明日なの」

「え~~っ。 急ですね! 僕はみちるさんが義姉さんになってくれるものとばかり思ってたから何か寂しいなあ、、、 この前、ご馳走してくれたお礼に引っ越し、手伝います」

「ありがとう。 でも作業はほとんど終わってるの。 後は運び出しやすいように玄関近くに荷物を集めるくらいかしら」

「わっかりました!」

 そう言って、竜司は梱包された段ボール箱を担ぎ、玄関の方へ次々と運び出した。

 重そうな段ボール箱をみちるが抱えようと屈んだ時、手助けしようと駆け寄ったらみちるの胸元の谷間が目に入り竜司はドキッとした。

 そしてランドリーboxで嗅いだみちるのショーツから匂った魅惑的な甘い香水の香りが鼻腔をくすぐる。

 「う~ん!」と力を込め、重さに歪むみちるの表情に、セックスの時にもこんな顔をするだろうかと竜司の妄想は膨らむ。

 たちまち竜司の下半身に血が集まり、股間が膨らんでしまった。

「どうしたの?」

 段ボール箱を向かい側で支えたまま動きを止めた竜司にみちるは訝しげに声を掛けた。

「あっ、 ちょっと足が吊りそうになって、、、」

「え~?! 若いのに~。 少し鍛えなきゃだめね」

「これ、ボクが持ちます」

 竜司はペ×スがギンギンに鬱血していることを悟られぬよう、段ボール箱を抱えた。

 荷物は玄関にうず高く積まれ、後は業者が来るのを待つのみになった。

 二人で部屋の中を掃き、ぞうきんを掛けて部屋を出て行くみちるの作業を終えた。

 程なくして引っ越し業者が現れ、みちるの荷物がなくなると部屋は少し閑散とした雰囲気になった。

「竜司君。 アリガト。 これから頑張ってね」

「はい、、、 みちるさんもお元気で」

 竜司はみちるの連絡先を聞こうとしたが、思いとどまる。

 兄と別れた彼女に弟の自分がそれを聞くのもおかしな話だと思い、聞かずに兄の住んでいた部屋を後にした。

 竜司は管理人の人なら何か知っているかもと、管理人室を訪ねてみるが、あの時の管理人夫婦とは違う人になっていた。

 聞くと、人の良さそうなおばあちゃんが亡くなり、旦那さんは1人故郷に帰ったという。

 兄の会社に電話したところ、みちるが言った通り既に3ヶ月も前に退職していた。

「どうしちゃったんだろ、竜にぃ…」


    ◆

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第10章 麻里絵 ― 興信所の報告 ―
2020/09/23(Wed)
 聖子が依頼した興信所から最初の報告があった。

 父・竜平は月に二度のペースで神戸から上京しては、女遊びを繰り返しているらしい事がわかった。

 デリヘルで宿泊ホテルに女を派遣させるのがパターンで、最近はこの前見た女子高生に扮した女にご執心らしい。

 この女の子のことも調べて欲しいと依頼していたが、彼女の素性も同時に報告があった。

 調査書によると、彼女は本庄 麻里絵 26歳、母一人に育てられ、その母を最近亡くし、身寄りの者は誰もなく、天涯孤独の身の上だった。

 有名私学を卒業後、大手の出版会社に就職したものの母親の看病の為、3年で退職し、母の死後、中堅商社に職を替えていた。

 母を亡くし天涯孤独とはあまりに自分の境遇に似ている麻里絵を他人事とは思えなくなってきた。
 
 ただ彼女がどこのデリヘル組織に属しているのかはつかめず、何らかの弱みを捉まれて直接竜平に脅されている可能性があると探偵は言った。

―――あの子を救ってあげなきゃ、、、、
 
 聖子は、浮気の決定的証拠を手に入れるよう父親の調査を引き続きやってもらうように依頼した。

 それを手に入れてどうするのかと探偵に聞かれ、正直自分にもわからないと答えた。

―――ほんとにどうしようかしら、、、

 父に対する憎しみや侮蔑を、どこに向ければいいのか聖子は自分の気持ちを持て余していた。

 少なくともあの子を父の魔の手から救い出す手立てになるかも知れないと調査の意義を自分に言い聞かせた。


      ◆

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第10章 麻里絵 ― 姉・聖子 ―
2020/09/22(Tue)
―――えっ?! まさか… あれは、父さん、、、

 お客に提出する資料を急いでPCで修正するために立ち寄った喫茶店の隣の席に、まさかの顔を見た。

 母の苦労の原因を作った男、父・速水竜平がセーラー服の女子高生を前にニヤついた顔を浮かべていた。

 父親の前に座る女子高生は、ツインテールの髪が似合うとても可愛い女の子だ。

 女の子は恥かしそうな表情を浮かべ、父とぎこちなさそうに会話している。

 二人の会話に耳を立てていると、彼女は目の前の父のことを『お父さん』と恥かし気に呼んだ。

―――再婚相手との子供なのかしら?!

 しかし、続けて会話を聞いているとそうではないことが直ぐに解った。

 刹那の関係の二人が今日は、親子として過ごそうと父が女の子に強いているのだ。

―――援助交際、、、 相変わらずのエロ親父、、、

 聖子は呆れて思わず深いため息をついた。

 すると竜平が聖子の方に顔を向け、視線が合った。

 思わず顔をそむけたが、竜平は気にする様子もなく、女子高生と話を続ける。

―――分からないんだ、、、 私の事、、、

 離別してから15年以上経つ。

 分からないのは当然かもしれない。

 しかし当時中 学生だったとはいえ実の娘の顔を見て何の反応も示さなかった父親に対し、猛烈に憎しみを覚えた。

 セーラー服の女の子は化粧っけのないスッピンなのだが、よく見てみると大人の色香が漂っている。

―――高校生じゃないわね、、、

 コスプレさせているのだろうと察し、改めて唾棄すべき男だと心底軽蔑を覚えた。

 それにしても、セーラー服の女は商売女のように擦れた感じがせず、素人の女性だと感じた。

 聞こえる二人の会話から、無理やり感がありありだ。

―――脅されてるのかしら、、、 何か弱みに付け込まれているのかも、、、

 聖子は、恥ずべき父親と今からのデートコースを楽しそうに悩む風を装う女の子のことが不憫で、妙に気掛りだった。

《カシャ、カシャ》

 隣のテーブルでシャッター音が聞こえた。

 目をやるとセーラー服の女の子が大きく股を広げているではないか。

 父はスマホの画面をニヤニヤ笑いながら見つめている。

 女の子のスカートの中の写真を撮ったんだと知り呆れてしまった。

 しばらくすると、あろうことかセーラー服の女の子はスカートの中に手を入れ、腰を浮かせてショーツを脱ぐような仕草を見せた。

 気取られないよう、注意深くその様子を観察していたら、やがて女の子は足首から白いショーツを抜き取り、父に差し出した。

 そして父のおぞましい光景を目にする。

 父は彼女が差し出したショーツを鼻の前にかざし、満面の笑みを浮かべてくんくんとその匂いを嗅ぐ。

 明らかに恥ずかしがる彼女をいたぶっている。

 真っ昼間からこんな普通の喫茶店の中で、信じられない最低な男だと改めて聖子は思った。

 やがて父が入口近くのレジに会計に向かうと、女の子も慌ててカバンを手にして立ち上がった。

 泣きだしそうな顔をしていた女の子と目があう。

 その瞳はまるで助けてと言っているように聖子は感じた。

 女の子は父に言われたのか、父の腕にしがみ付くようにして、仲が良さそうな親子を装い店を出ていった。

 二人の後ろ姿を見詰め、父について興信所に調べて貰おうと聖子は決心した。

 少女の頃から抱いていたふしだらな父親への嫌悪感が、女の子に対する所業を目の当たりにし、猛烈な怒りに変わった。

 今更父の浮気の証拠を掴んで亡き母の恨みを晴らしたいのか、自分でもよく分からない。

 父を見て両親の離婚以来会っていない弟・竜之介のことがとても気になったのも馬鹿々々しい依頼をする気になった一因だ。

 聖子にとって両親の離婚で一番悲しかったことは、弟との別れだった。


      ◆

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第10章 麻里絵  ― 次女・麻里絵 ―
2020/09/18(Fri)
 父が指定した時間が迫ってきていた。

 デートを承諾しないみちるに業を煮やした竜平は、会社にまで電話を寄こし、事務所に言いつけますといっても『好きにすればいい』とてんで意に介さない。

 これ以上父と交わるのは堪忍してくださいと浩二にすがろうかと散々思い悩む。

 しかし今回の事もデート倶楽部を装った浩二の指示なのかもしれないと思うと怖くて連絡できなかった。

 2度目に会社に掛かってきた竜平の電話に、とうとうみちるは屈し誘いを受けた。

 承諾した翌日には、当日の小道具にとコインシューズと学生カバンを竜平は送って寄こした。

 更に今朝早く、メールで髪型はツインテールで、化粧をせずにセーラー服を着て来いと指示してきた。

 見せパンは厳禁とも記してあった。

 手鏡に映るツインテールのすっぴんの顔にはっとする。

―――昔のボクだ、、、

 父と一緒に写った写真はアルバムにもほとんどなかいが、中学校入学式の時に撮ったむすっとした表情の父の隣で所在無げに佇むあの時の自分の顔にイメージが被る。

 女性ホルモン投与を始めてから、女性らしい脂肪が付いて丸みを帯び、巷の女性も羨むような体型を手に入れていた。

 徐々に髪質は細く茶色がかってきて体毛はほとんどなくなっている。

 肌は毛穴がまったく目立たずとてもキメ細やかになって随分若返ったような気さえする。

 だから少年期の顔に似ていると感じるのかもしれない。

 顔は全くいじっていないので面影が残るのは当たり前と言えば当たり前だ。

 日頃のバッチリメイクの顔しか知らない人に見抜かれないためには、スッピンの方が良いと思うが、父には昔毎日見ていた息子の顔は記憶に残っているはずだ。

―――気付かないよね、、、 大丈夫だよね、、、

 不安に駆られながら身支度を整えた。

 自宅から、セーラー服を着て出かける姿を見られるわけにはいかないので、送られてきたセーラー服やコインシューズをバックに詰め込む。

 待ち合わせの喫茶店の最寄の駅のトイレで着替えるつもりでマンションを出た。


      ◆

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第10章 麻里絵  ― セーラー服 ―
2020/09/16(Wed)
 マンションに帰宅すると宅配BOXに荷物が届いていた。

―――通販、何か頼んでたっけ?

 送り主は見知らぬ社名で衣類と書いてある。

 気になったが、今日一日外回りで凄く汗をかいたので、バスルームに飛び込みシャワーを浴びた。

 缶ビールを飲みながら箱を開けると、中にはセーラー服が入っていた。

―――何これ? 誰かしら、、、

 紺色の長袖のセーラー服がスカートとセットで入っていた。

―――どういうこと? 浩司さんなの?! 

 手術を終え、退院してから2ヵ月近い。

 独立した戸籍を持った”女性”になれたのは浩二のおかげなのだが、父親に”処女”を捧げさせた浩二の仕打ちに、連絡を絶っている。

 もう浩二に頼らず、女として前向きに生きようと仕事に打ち込む日々が続いていた。

 しかし、本当はあんな惨い仕打ちをした浩二に逢いたくて、抱きしめて貰いたくて仕方がない心の声ををみちるは懸命に押し殺しているのを自覚していた。

「えっ?! これは、、、」

 よく見ると胸のマークに見覚えがある。

 竜之介の出身高校の女子の制服だった。

―――ワタシの母校の制服って、、、 こんな手の込んだことするのはやはり浩二さんかも、、、

 女になった自分へのプレゼントであって欲しいと、謎の贈り物に少しわくわくしていた。

「ひっ!」

 いきなり、サイドボードに置いていた携帯が着信音と共にブルブル震えだした。

 携帯の番号が表示されているので、登録している相手ではない。

―――誰?! これを送ってきた人かも、、、

 出るべきかしばらく逡巡したが、受話ボタンを押した。。

「はい、、、 もしもし」

 反応がない。

「あのぉ、、、 どなたですか?」

『麻里絵ちゃん、お帰り~。 プレゼントは気に入ってくれたかな?!』

 みちるはその声に眩暈を覚えた。

 父・竜平の声だ。

「あの、、、 ち、違います、、、 番号間違えて掛けられたんじゃないですか、、、」

『いやいや、その声は間違いなく麻里絵ちゃんだ。 いやあ、良かった!』

「、、、、、、」

『人違いだったらどうしようと心配してたんや。 プレゼント、気に入ったかな?』

「、、、ち、違います! 人違いです」

 狼狽して慌てて電話を切る。

―――どうして父さんがこんな物を?! なぜこの電話や住所が分ったの?

 父は、期せずしてみちるが演じさせられた麻里絵というデリヘル嬢の名を口にしておきながら、得たばかりの”新垣みちる”の名を記して自宅に物を送り付けてきた。

―――浩二さんが教えたの?!、、、

 浩二の仕打ちだったのなら、みちるには哀し過ぎる。

―――そんなにまでして私を虐めたいの? 生まれ変わった私に酷い仕打ちを、、、

 再び同じ番号の携帯から着信があった。

 どうしていいのか分からない。

 戸惑っているうちに留守録モードに切り替わった。

―――どうしよう、、、

 みちるは震える手で留守番メッセージを再生した。

『忙しいのかな?! 手が空いたらコールバックして欲しいな。 それとも君のオフィスに電話しても良いのかな?! じゃあ、待ってるよ』

―――会社のことも知ってる?!

 恐怖で血の気が失せた。

 しかし、考えてみると、ここまでの事を浩二がするのかと疑問が湧いてきた。

 浩二は、行方不明者として探し回るお前の両親が不憫だと言い、死んだことにするほうがお前の新しい人生を生きるためにも残される家族の未練を断つ意味でも良いと新たな戸籍まで用意してくれ、今も弁護士を通じ”竜之介”が死んだ事にする手続きを進めてくれている。

 そんな浩二がそこまでして得た新たな戸籍、身分を家族にバラすようなことをするとはとても思えない。

―――あっ! そっか! きっとあの時にバッグの中を見られたんだわ、、、

 父に処女を奪われたあの時、意識を失っていた時間があった。

 会社を出てそのままあのホテルに向かったので、社員証も名刺入れもバッグの中に入っていた。

―――きっとそうだわ、、、

 そうだとすると合点がいく。

 浩二が今日のこの酷い仕打ちには関与していないだろうという安堵の半面、父がこんな卑怯な事をしているショックが倍増した。

 金で買った”女”を再び手にする為に、卑怯な脅しまでするなんて軽蔑すら覚える。

 とにかく今の職場に接触されることだけは絶対に避けなければいけない。

 追い打ちをかけるように父からメールが届いた。

 『こんどは女子高生の麻里絵とデートしたいなあ』と短いメッセージと、添付ファイルが2つある。

 開いてみると、血の気が引いた。

 

 裸の女が背後から貫かれているものと、騎乗位で繋がり乳房を揉まれているいやらしい写真だった。

 間違いなくあの日の自分で、顔がはっきりと写っていた。

―――隠し撮りしてたなんて、、、 卑劣な男、、、

 貴方の私への戯れでこんな窮地に陥ってしまったと浩二に打ち明けようかと、散々迷う。

 しかし、みちるは出来なかった。

 本当に浩二の仕組んだことだったら、”ただの性の玩具”の刻印をはっきりと刻まれてしまう。

 今以上に惨めな思いをするのが恐かった。

 しかし、”新垣みちる”は断じて守らなければ”速水みちる”を抹消する意味が無い。

 みちるは、父親と対峙する方法を懸命に考えた。

 竜平だって商売女との淫らな関係がバレると、会社には居辛くなるに違いない。

 父の所属する会社は大会社ではないが、上場企業の系列会社でコンプライアンスにうるさいはずだ。

 女を恥かしい写真をネタに脅して肉体関係を強要しようしていることが知れると、立場を保つのは難しいに違いない。

―――そうだわ! 業者に言うぞというのも効果的かも、、、

 ”麻里絵”は業者に派遣されたデリヘル嬢だと父は思っている。

 だとすれば、業者が父の連絡先や名前を知っていてもおかしくはない。

 竜之介はそういうサービスを利用したことがなかったが、業者に内緒で女と直接交渉をするなんてルール違反になるということは知っていた。

 そこを突くときっと父も怯むに違いない。

 みちるは、ふーーっと大きく息を吐き、意を決して着信履歴の父の電話番号をタップし、メールを打つ。


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第10章 麻里絵 ― 執着 ―
2020/09/16(Wed)
「麻里絵を来週の金曜にお願いできないか?!」

 もう一度麻里絵を抱きたいと熱望していた竜平は、安くはないデート代を工面し、デリヘル業者に電話をした。

『申し訳ございませんが、それは出来ません。 一度だけってお約束だったはずですが、、、』

 確かに前回は”今回限りの特別な女”と念を押され、現れたのが”麻里絵”だった。

「そこを何とか頼むよ」

『残念ながら無理です!』

「どうしてもか?」

『ど~うしてもです!』

 間髪入れず、強い口調での対応に、竜平は少し向かっ腹が立った。

「じゃあ、本人が了解したらいいんか?!」

『ん?! それは、どういう意味ですか? 直接連絡が取れるとでも?!』

「あの子は某有名ゲーム機会社の社員だっていうじゃないか」

 麻里絵との一夜の快楽をどうしても忘れられない竜平は、言わずもがなの一言を口にしてしまった。

『ほぉ~! おもしれ―ことをいうじゃねえか?! どうしてそれを知っている?!』

 電話口の男の口調が一変し、怒気色を帯びる。

「いやぁぁ、、、 彼女が寝物語で言ったんだよ」

 電話口の男の変容に竜平はたじろぐ。

 あの日、麻里絵のバッグの中身を探り、名刺を一枚拝借していたことは明かすわけにはいかない。

 この手のデリヘル業者にその筋が係わっていることは想像に難くない。

『ふん。 デタラメを言うな! アンタにだけは絶対言うわけがない!』

「俺にだけは?! どういうことだ?」

『それは知らない方がアンタの身のためだ』

―――俺の身のため、、、 俺に関係してる女なのか、、、

「お、俺から直接彼女に連絡することはタブーだってことは分かっている。 だから頼んでるんじゃないか」

『おい! 調子こいてるんじゃねえぞ! あんたが麻里絵の事知ってるように、こっちもアンタの事は分かってるんだぜ。 会社に言ってもいいのかな?! 速水竜平取締役部長さんよぉ』

 竜平はぞ~ッと背筋が凍りついた。

 麻里絵に固執したあまり、反社勢力の虎の尾を踏んでしまったのかと後悔した。

「か、会社に言うって何をだ?! 自慢はできないが、風俗の女を買って何が問題だ?! そんなことぐらいじゃ、、、」

『あのなあ。 麻里絵の安全を考えて、あの日の麻里絵とアンタの絡みは全部録画してある』

「何っ?!、、、」

『見てみろ』


 程なく竜平の携帯にメール着信の音がして、開いてみると麻里絵を抱いて雄叫びを上げている自分の顔が写っていた。

 次の画像は麻里絵を騎乗位で抱き、大笑いしているカットで明らかに自分と識別できる。

 アングルから見て天井に隠しカメラが仕込まれていたのだろうと竜平は察した。

『そう言う事だ! いいのか、会社に送っても?! それともNetで拡散してやろうか?!』

「いやっ、、、 待ってくれ」

『言う通りしてもらおうかっ!』

「か、金か?!」

『いいや。 ちゃんと言うことに従ってくれれば、それなりに良い思いもさせてやらんでもないがな』

「わ、わかった、、、」

『はぁ~っ!? わかった??? 分かりましたの間違いじゃあねえのか?!』

「あっ、すみません、、、 わかりました、、、  な、何をすればいいんですか?」

 竜平は豹変した電話口の男に縮み上がり、オロオロする。

『また指示する。 楽しみに待ってろ、エロおやじ』

「はい、、、」

  電話を切り、竜平は青ざめた顔でため息をついた。

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